VDT健康診断

VDT作業とは

パソコンなどのように、ディスプレイやキーボード等で構成されているVDT(Visual Display Terminalsの 略)機器を使用して、文章・画像等の作成やデータの入力・検索、プログラミングなどを行う作業のこと です。
この他にも、液晶やブラウン管等の画面を見ながらの作業が、1日およそ2時間以上あればVDT健康診断 の対象者に含まれます。

健康診断は、なぜ必要なのですか?

VDT作業は、全身の疲れは一見少ないように思われがちですが、目や視神経、首や肩、腕、手、指、腰など の筋肉に集中して負担がかかります。
また、作業が細かいので、ストレスがたまりやすい作業でもあります。ですから、 作業のやり方や機器の周囲の環境、休憩の取り方が不適切だと、 を生じやすくなります。
このことは、以前より問題視されていて、政府は昭和60年代からVDT作業を行う事業所ではVDT健康診断 を行うようすすめていました。しかし近年、便利なソフトウェアの開発や、インターネット等の普及により、 以前はコンピュータとは無縁と思われていたような職場にまで、VDT作業が導入されてきました。それに伴い、 VDT作業による症状がある方が急増してきました。
そのため労働基準局では規定を強化し、VDT健康診断を積極的に行い、上記の症状がある人ではそれがVDT 作業のせいなのかを判断し、またその場合に本人だけでなく、職場全体の作業の環境や方法をどのように 改善したらよいか考える上で役立てるよう、「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」 を公表し、対策を強化するよう指導しています。

コンピュータを使っていれば、全員受診するのですか?  
   作業の内容により、受ける内容は違うのですか?

先程のガイドラインでは、VDT作業の内容と時間によって、A〜Cの作業区分を定め、最も負担のかかり やすい作業区分Aの方には特に念入りな検査を行うよう指導しています。
この「作業区分」は、VDT作業の内容と時間によって、次の表のようになっています。


作業の内容 ガイドラインでの作業内容の名称 その作業をする時間
(1日あたり)
2〜4時間 4時間以上
その場にある原稿や資料、伝票等に書かれていることや、聞いたことをほぼそのまま入力していく作業。 テープおこし、原稿のワープロ清書、データの単純入力など 単純入力型 作業区分B 作業区分A
問い合わせや注文等に即座に応対するため、一定時間はよほどのことがない限り席を立つことが難しい作業(但し、表示を見ているだけで操作はしない場合は「監視型」です)。 窓口やお客さまセンター等での受注、予約、照会など 拘束型
自分で考えて文章、表等を入力する作業。 メールや広告の原稿作成、報告書作成など 対話型 作業区分C 作業区分B
自分で考えてプログラムの作成、設計、製図等を行う作業 ホームページの作成、CAD作業、プログラミング、設計など 技術型
常にディスプレイに表示された事項、画像等を監視する必要のある作業 防犯モニターや交通管制の監視など 監視型
その他、ディスプレイつきの機器を操作する必要のある各種の作業 携帯情報端末の操作、画像診断検査など その他の型



新しく当該業務に就く際と、以後年に1回、作業区分Aの方では次にご紹介する全検査項目を、 作業区分Bの方全員と作業区分Cで自覚症状のある方では、まず医師の問診を行い、その場で必要と 認められた場合は作業区分Aの方と同様に眼に関する検査や上半身のこりや痛み・動き等の検査も追加 するよう指導されています。

検査項目について教えて下さい

※先程のガイドラインでは、以下のVDT健康診断の検査項目が提案されていますが、厳格な統一規定はなく、 作業内容や事業所の希望によって実施する検査項目を選んで頂くことになっています。
上記の作業区分を参考に、以下にご紹介する項目から実施する内容を選択して下さい。
また、以下の項目に示した対象者は、あくまで目安です。
作業区分B・Cで症状のない方についても、眼や筋骨格系に関する検査を実施される事業所もあります。 また、眼や筋骨格系に関する検査の中でも一部の項目のみ実施することも可能です。


問診(問診票及び医師の質問)

全ての受診者

等について、お聞きします。

筋骨格系に関する検査

(目安)作業区分Aの方全員と作業区分B・Cで自覚症状のある方

医師の診察
手や指、首・肩・腕・背中・腰に動かしにくい所や痛み、腫れなどがないか診察します。

タッピング検査、ピンチ力検査、握力検査
それぞれ、指の細かい動きのしやすさをみる検査です。 頚肩腕症状があると、指のしびれ感や痛み、脱力感などが起こることがあります。症状がなかった頃の測定値 を正常値として扱い、頚肩腕症状の重症度を推測します。
タッピング検査は、左右の人差し指と中指を30秒間でどれぐらい動かすことができるかの検査、 ピンチ力検査はものをつまむ力の検査です。

眼に関する検査

(目安)作業区分Aの方全員と作業区分B・Cで自覚症状のある方

視野検査以外は機械を使って行いますが、機械で測定しない場合は、医師が手動で測定します。
眼鏡等を使われる方は、日常のVDT作業時と同じ状態で受けていただきます。

・視力検査 遠方視力検査(一般的な視力検査)、近方視力検査(ディスプレイと眼の距離での視力。遠視や、いわゆる老眼があると低下します)
・屈折検査 乱視の検査です。また近視や遠視もわかります(*問診で特に異常なく、遠方・近方視力ともに両眼とも毎年0.5以上が続いている場合省略可(案:紛らわしいので全員必須))。これと視力検査の結果を合わせることで、適する眼鏡のタイプが推測できます。
・眼位検査 近くを見たときに、眼の焦点が偏らないかの検査です(偏りがあると、眼が疲れやすくなるため)。
・調節機能検査 目のピント合わせの機能の検査です。遠くにある物が見えにくいのは当然ですが、あまりに近すぎても見えにくいはずです。どれぐらい近くになると見えにくくなるかを、機械で検査します。老眼や眼の疲れがあると、数値が大きくなります(*問診で特に異常なく、遠方・近方視力ともに両眼とも毎年0.5以上が続いている場合省略可(案:紛らわしいので全員必須))。
・立体視検査 ものを立体的に見るために必要な両目の協調の程度を、おおまかに把握します。
・視野検査 まっすぐ前を見た状態で、上下左右それぞれどれぐらい外側まで見えるか測定します。

健診のあとは、どうするのですか?

VDT健康診断個人票(=カルテ)を作成しますので、これを事業者の責任で保存するとともに、 事業所全体の結果を「指導勧奨による特殊健康診断結果報告書」に転記して労働基準監督署 長に報告されることをお勧めします。 本健診は法律ではなく通達によるものなので、実施や記録の保存、報告は絶対的な義務では ありません。
しかし、VDT作業を行っていた方に将来健康影響が出た際に、それが業務の影響か(=労災の 可能性があるか)判定する際重要な参考となります。

(例.新しくVDT作業に就く際から既に症状や既往症のあった方では、そのことを示せば労災 の疑いを晴らすことができます。また、VDT作業に就く際には症状がなかった方では、症状が なかった時期と較べて、作業負担が重くなっていないことを示さなければ、労災の疑いを晴 らすことができません。)

またこの際、本健診を実施していた記録がなければ、労災の疑いを晴らすことができないだけ でなく、従業員への配慮を怠ったとして責任を問われることになります。
さらに、労災保険の給付が可能か判定する際にも参考とされます(給付可能とされなければ、 全て事業主の負担で補償することとなります)。
よって、特に最初のVDT健康診断の個人票は退職まで、以後のものも概ね5年間は保存される ことをお勧めします。

所見があった人が出たら、どうしたらいいのですか?

上記の検査の結果、VDT作業による疑いのある症状が認められたからといって、全てがVDT作 業が原因とは限りません。業務と無関係のけがや疾患、体質が原因の場合もあります。特に 眼に関する検査所見については、私用でのパソコンやワープロ、テレビゲーム等の使用、 テレビ視聴、薄暗い場所での読み書き、そして加齢などが原因の場合が多く見られます。
しかし、個人に合った視力矯正や画面等の調整(文字の大きさにするなど)を行わないまま VDT作業を続ければ、悪化します。頚肩腕症状についても、同様です。
そこで、「要二次検査」以上とされた方については、所見のあった項目により、眼科での より詳しい検査による眼鏡等の調整の判定や処方、整形外科等での頚肩腕症状への対症治療 など、さらに詳しい診断が必要になります。
また、作業の状況が原因ならば、同じ作業をしている方にも将来同じ症状が出る可能性が あります。よって、「要経過観察」の場合を含めて、その所見がVDT作業が原因か確認し 、作業時間や作業方法、機器及び机・椅子等の調整等の配慮について、産業医による改善 アドバイスが必要になります。
そこで、「要経過観察」以上の場合には、

・産業医を選任されている場合はご選任の産業医
・産業医を選任されていない場合は郡市医師会内の地域産業保健センター

へ、健診結果をご持参の上ご相談され、専門医への紹介やアドバイスを受けて、 その結果を個人票に記載してもらって下さい。また、そのアドバイスを事業所全体の健康と 安全の管理に生かして下さい。